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2015年9月14日 (月)

「その男」に学ぶ・・

今、池波 正太郎さんの「その男」全3巻(1981年に文春文庫から出版)を読んでいる。

幕末から明治にかけての動乱の時代・・。
杉 虎之助は微禄な旗本の嫡男に生まれた。
生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで13歳のとき大川に身を投げたが、謎の剣客・池本 茂兵衛に助けられた。
死んだつもりで茂兵衛に弟子入りし、六年後、二人での諸国放浪の旅から江戸に帰ってきた虎之助は、肉が付き、がっちりと腰の据わった、別人のような若者に生まれ変わっていた。

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杉 虎之助とは架空の人物らしいが、薩摩の中村 半次郎とか、生涯の友となる伊庭 八郎などの実在の人物などとも交流があって、幕末の風雲急をつげる時代を生き抜いた剣士・杉 虎之助の半生を描いている。


そんな小説「その男」第2巻目の始めの辺りに、師・池本 茂兵衛が虎之助に言ったとされる回顧の言葉がある。

『日本人というのはな、虎之助。
白と黒との区別があっても、その間の色合いがない。
白でなければ黒、黒でなければ白と、決めつけずにはいられないところがある。
しかしな 虎之助。
人の世の中というものは、そのように、はっきりと何事も割り切れるものではないのだよ。(中略)
皆それぞれに暮らしも違い、心も身体も違う人びとを、白の黒の たった二色で割り切ろうとしてはいけない。
暮らしのこと、男と女のこと、親子のことも考えねばならぬ。
ましてや、天下を治める”まつりごと”なら尚更にそうなのだ 』
・・と。

さらに虎之助は・・
『池本先生はね、こんなわかりきったことが、天下をおさめようという えらい人たちに何故わからないのか・・・おのれの立場だけを、(人民に)しゃにむに押し付けようとしても、そこには何の解決も生まれはせぬ ・・。
だがまあ、人間この世に生まれてこの方、何百年も、何千年も、同じようなことをくり返してきている。(中略)
ばかばかしいことではあるが、それでも たとえ少しでも、良い世にしようと努力しなくては、天下も世の中も おさまらぬのだから・・・。』

と師の教えを続ける。


自分の”説”が 唯一絶対 正しいのだ!との強弁を張り、弁護士時代に身に付けたのであろう議論に勝つためだけの「ありえない比喩」や「もっともらしいがスジが通ってない詭弁」などの言論テクニックを使って自説を通そうとする。
愚かな私など、その意見は何んか違うなぁ・・と思いながらも、彼の言論テクニックに翻弄されてしまうのか、適正な自分の反論の言葉が思いつかなくなってしまう・・
そんな どこかの 市長。

また いくら世間や党内で強い人気があるとはいえ、総裁選挙での無投票選出に強引に持って行き、それこそ日本の大切な将来がかかっている多くの事柄などを、無理やり押し通そうとする どこかの総理大臣。

そんな総理も総理だが、強い総理に逆らわず、何も言わない同じ党内議員もアホばかり。
いろいろな意見があって当たり前だし、その方が いざとなったら強いはずや。

ばかばかしくも人は、いつになっても 愚かな事を繰り返すんやなぁ・・と、池波 正太郎さんの、この だいぶ前に出版された古い時代小説を読んで、あらためて思ったりする。



Webでの「goo辞書」によると・・
『比喩(ひゆ)』・・・「ある物事を、類似または関係する他の物事を借りて表現すること」、又は「たとえ」

『詭弁(きべん)』・・「道理に合わないことを強引に正当化しようとする弁論」、又は「こじつけ」

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